目次
葬儀後に相続人の方は下記のような手続をする必要
相続人が手続きをする必要があるタイミングを紹介します。
相続手続きを数年放置してしまうと2つの事態に陥る
相続手続きを放置してしますと以下のような事態になってしまう可能性があります。
- 共同相続人の誰かが亡くなる
- 認知症になってしまう人がいる
このような状況になってしまうと、相続関係が複雑化し、それに伴い相続手続きもより煩雑なものになってしまいます。
手続きが煩雑になればなるほど、相続人間での争いにつながりやすく、手続き完了がより難しくなります。
このような状況は、亡くなった方が望んでいる状況ではないと思います。
亡くなった方のためにも、相続発生後、スムーズに手続きを行う方が良いといえます。
相続人の中に認知症の方がいるとどうなるのか?
中には相続人ではあるが認知症ということも考えられます。
認知症を患っている場合はどのようになるのか解説します。
認知症を患っている相続人は遺産分割協議に参加できない
遺産分割協議とは、割合に基づいて定められる相続分に基づいて、具体的に、「誰が・どの財産を取得するか」を決めることです。
遺産分割協議も重要な法律行為の一つなので、認知症が進行している人を当事者として遺産分割協議に参加させ、遺産相続方法を決めることは許されません。
親族でも勝手に代理で遺産分割協議を進めることは許されない
代理権を与えられていないので、親族であっても勝手に本人の代理で遺産分割協議を進めることは不可能です。
認知症になった相続人を外して遺産分割協議をしても無効になる
認知症になった相続人が遺産分割協議に参加することも親族が代理することも不可能なのであれば、認知症になった相続人を外して他の人だけで遺産分割協議をできないか?と考えるかもしれませんが、それも不可能です。
遺産分割協議は、法定相続人が全員参加しなければならないからです。
認知症になっても相続権を失うわけではないので、認知症の方を外して遺産分割協議を進めても無効になります。
認知症になった相続人は相続放棄すらできない
相続放棄も一種の法律行為であり、認知症で意思能力が失われている状態では本人がその内容をきちんと理解しているとは考えられないため、認知症が進行して意思能力が失われている方の場合には、相続放棄すらできません。
以上のように、相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割協議も進めることができず、かといって本人を外すこともできず、遺産相続手続きがまったく進まない状態に陥ってしまいます。
認知症の方がいる場合の手続きの進め方
相続手続きを行うためには、相続人全員が遺産分割に同意していることが前提となりますので、相続人としての意思表示が出来ない方がいる場合、手続きを進めることが出来ません。
こうした場合には、そうした意思能力の無い相続人に代わって遺産分割協議に参加する代理人が必要になります。
その代理人を後見人といいます。
このように、認知症の方が相続人にいる場合の相続手続を進めるにあたっては、まず家庭裁判所に成年後見人の選任申立てを行い、後見人が無事に選任されてから後見人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行う流れとなります。
このうえで、必要書類に署名捺印して相続手続きを進めて、財産の名義変更などができるようになります。
※この場合の後見人には、成年後見人、保佐人、補助人など、認知症の方の程度によっても、後見人の種類が変わることがあります。
後見人の選任は、家庭裁判所で行われますので、家庭裁判所に対して後見人選任の申立てを行う必要がありますが、後見人が選任されるには、認知症の方の鑑定等が必要な場合もあり、選任されるまで、一般的には2~3ヶ月は時間がかかってしまいます。
相続手続がスムーズに進めるためには、早めに司法書士などの専門家にご相談いただく必要があります。
相続登記が義務化され不動産を放置するのは危険
2024年4月から相続登記が義務化されました。
義務化はされたが、「遺産分割協議をして不動産を相続することになったが、名義変更の登記手続きが面倒」、「名義変更の登記をするとお金がかかるので、しばらくは父名義のままにしよう」のような理由で名義変更をしていない方が多いのが現状です。
これまでは相続登記が義務ではなかったために、長年登記をせず放置している物件がありますが、さらに相続が発生することにより疎遠な相手からも実印をもらわなければならない事態になります。
亡くなった方のままの物件は、売ることも担保として提供することもできません。一度ご相談ください。
不動産の相続登記をしないまま放置したケース
相続登記を放置してしまったケースを紹介します。
子供のいない夫婦で夫が亡くなったが20年以上登記せずにいたため相続人が増えてしまいどうしたらよいか分からなくなったケースです。
亡き夫名義のままの自宅に相談者である奥様が住み続けていましたが、高齢になり自宅を処分して施設入所を検討していました。
ご自宅を売却するためには、不動産を妻名義に変更する必要があります。
ご主人は20年以上前になくなりご夫婦には子供がいなかったため、亡くなったご主人のお母さまも相続人でした。
お母様も10年前に亡くなっており、母には婚姻歴が複数ありました。
当事務所が戸籍調査をしたところ、亡くなった方の父違いのご兄弟が4人いることが分かりました。
ご相談者は全くお付き合いがない方たちであったため依頼者のお気持ちを伺い、一般的な遺産分割方法についても説明したうえで、当事務所がご連絡をするための手紙の案を作成し各種資料を付けて相続人の皆様へお送りしました。
遺産分割をせずに放置すると遺産分割協議がまとまりにくくなる
遺産分割をせずに放置してしまうとまとまりにくくなり、遺産分割協議が大変になるケースがあります。
以下が遺産分割協議がまとまりにくくなる理由です。
- 親族で集まる機会がなく、遺産の話が進まない
- 遺産について協議をしたが、話がまとまらない
- 他の相続人と連絡がとれない、関わりたくない
- 相続人に未成年者がいて親権者と利益相反になってしまう
このように様々な理由で放置してしまう人が多いですが、時間が経つにつれ、相続人が増え遺産分割協議がまとまりにくくなることがよくあります。
不動産は亡くなった方の名義のままでは売却することができませんので、お早めにご相談ください。
遺産分割を放置するデメリット
遺産分を放置してしまった場合のデメリットを紹介します。
- 不動産の処分や有効活用に制限がでてくる
- 次の相続が発生して、相続関係が複雑になりかねない
- 銀行の相続手続きができなくなる可能性がある
遺産分割を行わないまま数年が経過したケース
遺産分割協議協議が整わない間に、さらに相続人の一人が亡くなってしまったケースです。
札幌に物件をお持ちの方が亡くなり子供が5名いましたが、遺産分割手続をしないまま8年経過する間に子供が2人亡くなりました。
不動産を売却することになり、遺産分割協議をまとめて登記名義の変更をしなければならないと考えている矢先にさらに子供の1人が亡くなりました。
登記名義人が亡くなったあと、遺産分割協議をまとめて名義変更しないまま相続人が亡くなることを数次相続といいます。
この場合、亡くなった子供の分の戸籍も遡り調べるため集める戸籍の数が多くなります。
また、関係者が増えるため話し合いをまとめるのも大変な作業となります。
当事務所で戸籍の取得を代行、遺産分割協議案のご提案をさせていただきました。
まとめ
やるべきことを先送りするほど、将来手続きができなくなるリスクが高まります。
せっかく先人が残してくれた遺産ですから、複雑な相続手続きになる前に、きちんと相続手続きをして、さらに後世へ伝えていきましょう。
相続手続きは、先送りにすればするほど、将来、手続きが煩雑になり、場合によっては、それが相続争いの原因になりかねません。
せっかく故人が残してくれた財産ですから、きちんと手続きをおこないましょう。
相続の手続は、年金手続き、保険金の請求、預金口座や不動産の名義変更など多岐に亘り、代表的なものだけでも90種類以上あると言われています。
相続手続きの方法が分からない、平日忙しくてなかなか時間が取れないという方もいらっしゃると思います。
当事務所では、司法書士が遺産管理人(遺産整理業務受任者)として相続人様の窓口として、これらの煩雑な手続きを全て一括でお引き受けする「相続手続丸ごとサポート(遺産整理業務)」のサービスを承っておりますので、相続に関して不安な事がある方は、無料相談をご利用ください。