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相続手続きで印鑑証明書を取りに行けない時の対応

遺言書がない相続手続きでは印鑑証明書が必要です。しかし、病気や高齢、遠方在住などの理由で、ご本人が役所へ行けないケースは少なくありません。印鑑証明書が取得できないと、手続きが滞り、相続手続き全体が止まってしまう可能性もあります。

本記事では、印鑑証明書が取得できない状況に応じた具体的な対処法を解説。また、専門家への相談も視野に入れ、円滑な相続手続きを進めるためのポイントを紹介します。

印鑑証明書を取りに行けない状況と対応方法

相続手続きでは、遺産分割協議書を作成する際に相続人全員の印鑑証明書が必要となります。しかし、病気や高齢、遠方在住などの理由で、ご本人が役所の窓口へ行くことが難しいケースは少なくありません。

印鑑証明書が取得できないと手続きが進められず、相続手続き全体が滞ってしまうことがあります。このような状況に陥った場合は、ご本人の状況に合わせた適切な対応を取る必要があります。

ご本人の状況 対応方法 ポイント
病気・高齢・遠方在住・入院・施設に入っている 代理人による取得 ・本人の印鑑登録カードが必要

・印鑑登録証があれば委任状なしで取得できる

認知症など意思能力が不十分 成年後見制度を活用 ・家庭裁判への申し立てが必要

・後見人が本人の代理を務める

海外在住 署名証明(サイン証明)の取得 ・日本大使館などで取得

・印鑑証明書の代わりになる

病気や高齢、遠方在住など、身体的な理由で窓口に行けない場合

本人が病気や高齢、遠方在住などの理由で窓口に行けない場合は、代理人による印鑑証明書の取得が一般的な対処法です。

例えば、入院中の父に代わり、あなたが印鑑証明書を取得するケースがこれにあたります。

多くの市区町村では、本人の印鑑登録カード(印鑑登録証)と代理人の本人確認書類があれば、委任状なしでも代理取得が可能です。

認知症など、意思能力が不十分な場合

認知症などにより本人の意思能力が不十分な場合は、成年後見制度の利用を検討する必要があります。この制度は、本人の代わりに財産管理や法的な手続きを行う後見人を選任するものです。

例えば、認知症を患った母の財産を管理し、相続手続きを進める必要がある場合にこの制度を利用します。家庭裁判所への申し立てが必要であり、手続きには時間がかかります。

しかし、後見人が選任されることで、本人の印鑑登録は不要になり、さまざまな法的手続きを代理で行うことが可能になります。

海外に居住している場合

相続人が海外に居住している場合、日本の印鑑証明書を現地で取得することはできません。この場合、署名証明(サイン証明)を代わりに利用します。

例えば、アメリカに住む姉が相続人の一人である場合、日本の印鑑証明書の代わりに、現地の日本大使館や領事館で発行された署名証明書を利用して手続きを進めます。

この書類は、本人の署名が真正であることを証明する公的な書類で、日本の印鑑証明書と同じ効力を持ちます。

入院・施設に入っている方

入院や施設に入っている場合も、本人が直接窓口に行くことが難しい状況です。この場合も、代理人による取得が基本的な対応となります。

例えば、特別養護老人ホームに入所している祖父の印鑑証明書を、あなたが代理で取得する場合などが該当します。

本人の印鑑登録カードと代理人の本人確認書類があれば、代理人が印鑑証明書を取得できます。事前に病院や施設の規則を確認し、必要な書類を準備しておきましょう。

相談は専門家にする

相続手続きは、印鑑証明書の取得が困難な状況など、複雑なケースが多く、専門的な知識が求められます。

こうした場合、司法書士や弁護士といった専門家への相談が有効です。相続に関する法律や手続きに精通した専門家は、個別の状況に応じた最適な解決策を提案してくれます。

専門家を活用することで、手続きのミスを防ぐだけでなく、時間や労力の削減にもつながります。ここでは、各専門家がどのような業務を担当できるか、以下の表で説明します。

専門家 できること(主な業務) できないこと(主な業務)
司法書士 ・不動産の相続登記(名義変更)

・遺産分割協議書の作成

・相続人や相続財産の調査

・相続放棄の手続き(書類作成)

・預貯金や有価証券の名義変更

・相続人同士の紛争解決(代理交渉や裁判)

・相続税の申告

弁護士 ・相続に関する紛争解決(代理交渉や裁判)

・遺産分割協議の代理

・相続人や相続財産の調査

・遺言書の作成支援

・相続放棄の手続き(代理申立て)

・不動産の相続登記(ただし、実務では司法書士に依頼することが多い)

・相続税の申告(税理士登録がある場合を除く)

・税務に関する相談

司法書士は、不動産の名義変更など、登記や書類作成のスペシャリストです。相続財産に不動産が含まれる場合に特に強みを発揮します。一方、弁護士は、相続人同士の対立や紛争が生じた場合に、依頼者の代理人として交渉や裁判を行うことができます。

複雑な問題に直面した際は、一人で抱え込まずに専門家の助けを借りることを検討してください。

まとめ

相続手続きで印鑑証明書を取りに行けない場合、様々な対応策が存在します。病気や高齢、入院中の方は代理人による取得、意思能力が不十分な場合は成年後見制度、海外在住の方は署名証明を利用します。

これらの対応策を適切に利用すれば、手続きの停滞を防ぎ、円滑な相続手続きに繋がります。

ご自身の状況に合わせて、適切な方法を選択し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

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