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うつ病・発達障害・統合失調症などの精神疾患を持つ方が相続人にいる場合の相続について解説

「親が亡くなり相続の手続きが必要になったが、相続人の一人にうつ病や統合失調症などの精神疾患がある。この場合、どうすればいいのだろう?」

このように悩まれている方は少なくありません。精神疾患があるという理由だけで、相続の権利がなくなることはありませんが、「本人が自分で判断できる状態かどうか」によって、手続きの進め方が大きく変わります。

この記事では、精神疾患を持つ方が相続人にいらっしゃる場合の正しい進め方や、話し合いが難しい場合の対処法について、分かりやすく解説します。

精神疾患者が相続人でも判断能力があれば相続手続きできる

うつ病や統合失調症などの精神疾患の診断を受けていても、「判断能力」があれば、通常通り本人が相続の手続きを行うことができます。

法律上、重要になるのは「病名」ではなく、「自分の行為の結果を理解できる能力(意思能力)」があるかどうかだからです。病気があっても、遺産の内容を理解し、自分の意思で遺産分割ができる状態であれば、問題ありません。

例えば、うつ病で通院中であっても、日常生活での買い物や契約行為が問題なくできていて、今回の相続についても「自分はこれだけ受け取る」と理解できている場合です。

このケースでは、特別な手続きをする必要はありません。本人を含めた全員で遺産分けの話し合い(遺産分割協議)をし、書類にハンコを押せば手続きは完了します。「精神疾患がある=手続きができない」わけではないため、まずは本人の現在の状態や理解力を確認することが第一歩です。

判断能力が不十分な場合は成年後見制度や遺産分割協議を行う

もし病状が重く、ご自身での判断が難しい場合は、「成年後見制度(せいねんこうけんせいど)」を利用して、代理人を立てた上で遺産分割の話し合いを行う必要があります。

判断能力がない状態で作成された書類や契約は、法律上「無効」になってしまうからです。無理やりハンコを押させたとしても、後からトラブルになるリスクがあります。

次に成年後見制度を利用する場合を2つのステップに分けて解説します。

成年後見制度

まずは、判断能力が不十分な相続人の代わりに、財産管理や契約を行う「成年後見人(サポート役)」を家庭裁判所に選んでもらいます。

本人が内容を理解できないまま不利益な相続をしてしまうのを防ぎ、本人の権利を守るために代理人が必要だからです。

親族が家庭裁判所に申し立てを行い、弁護士や司法書士、あるいは親族などが「後見人」として選ばれます。

遺産分割協議

後見人が選任されたら、その後見人を含めた相続人全員で「遺産をどう分けるか」の話し合い(遺産分割協議)を行います。

相続の手続きは「相続人全員の合意」が必須であり、一人でも欠けた状態での話し合いは無効となるからです。

本来なら本人が座る席に、代理として後見人が座り、他の家族と話し合うイメージです。この際、後見人は本人が損をしないように(法律で決められた取り分を確保できるように)主張するため、他の家族が「病気だから遺産はナシでいいよね」と勝手に決めることはできません。

後見人を交えて正式に合意し、遺産分割協議書を作成することで、初めて不動産の名義変更や預金の解約ができるようになります。

精神疾患者が成年後見制度や遺産分割協議ができないケースがある

制度を利用しようとしても、家族間の対立や本人の拒否によって、スムーズに進まないケースもあります。

成年後見制度は一度利用を始めると、原則として本人が亡くなるまで続き弁護士や司法書士などの専門家が後見人となれば報酬が発生するため、家族が「そこまで大ごとにしたくない」と躊躇することがあるからです。

また、本人に病識がなく「自分は正常だ、後見人なんていらない!」と強く拒絶している場合は話し合いのテーブルに着くことすらできず、手続きが止まってしまいます。

精神疾患と相続に関するよくある質問(Q&A)

ここでは、精神疾患を持つ方が相続人にいる場合に、よく寄せられる疑問についてお答えします。

Q1. 精神疾患のある相続人を除外して、他の家族だけで遺産を分けてもいいですか?

A. いいえ、絶対にやってはいけません。

相続の手続きは「相続人全員」で話し合い、合意する必要があります。一人でも除外して作成した遺産分割協議書は、法律上「無効」となります。 もし、そのような書類を銀行や法務局に提出しても、手続きを受け付けてもらえません。どんなに話し合いが難しくても、必ず本人(判断能力がない場合は代理人)を含めて手続きを行う必要があります。

Q2. 相続人が「生活保護」を受けている場合、遺産を受け取るとどうなりますか?

A. 生活保護の受給が停止、または廃止になる可能性があります。

生活保護は、利用できる資産や能力をすべて活用しても生活ができない場合に支給されるものです。まとまった遺産(現金や売却可能な不動産など)が入ると、「資産がある」とみなされ、その資産がなくなるまでは保護費の支給が止まることが一般的です。 ただし、遺産を使い切った後に再び生活に困窮した場合は、再度申請できることもあります。ケースバイケースですので、必ず担当のケースワーカーに相談してください。

まとめ

精神疾患を持つ方が相続人にいる場合、最も大切なのは「本人の判断能力の有無」を確認し、状況に合わせた手続きを選ぶことです。

判断能力があるなら通常の話し合いで済みますが、不十分な場合は法的なサポートなしに進めると、後々大きなトラブルになるからです。

精神疾患があるからといって相続ができないわけではありません。無理に自分たちだけで判断せず、必要であれば弁護士や司法書士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。

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