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面識のない(会ったことがない)相続人がいる場合の相続手続きについて解説!

遺産分割をするためには、戸籍を集めて法定相続人を調査します。
その際に異母兄弟や昔認知した子が判明することも珍しくありません。

このようなケースでは、相手の住所や連絡先が分からないしどのようにして話を進めていけばよいのか戸惑われることでしょう。

本記事では、被相続人が亡くなってしまった後に、面識がない相続人が判明した場合の相続手続きについて司法書士が解説します。

面識のない相続人を無視して相続手続きはできない

被相続人の死後、突然判明した面識のない相続人であっても、その方を除外して相続手続きを進めることはできません。

他の相続人と面識がなく、亡くなった本人とも生前全く交流がなかったとしても、法定相続人である以上は相続の権利をもっているからです。

よくあるのは、父や母が違う兄弟や、父が昔認知した子供、再婚の際に相手の連れ子を養子縁組して離婚の時に離縁をするのを忘れている子がいるケースです。
そのような場合でも相続放棄をしないならば、必ず遺産分割協議には参加してもらう必要があります。

面識のない相続人がいる相続手続きの進め方

面識のない相続人がいる場合の相続手続きの進め方は次のように3つのステップに従って進める方法があります。

  1. 戸籍と附表で相手の住所を調べる
  2. 相続財産の裏付け資料と財産目録を準備する
  3. 手紙を送る

それぞれの進め方について細かくみていきましょう。

戸籍と附票で面識のない相続人の住所を調べる

面識のない相続人や音信不通の相続人には、どうやって連絡をとればよいのでしょうか?
戸籍には本籍しか書いておらず住所は載っていません。

しかし本籍が分かると、本籍地から戸籍の附票(ふひょう)という書類を取り寄せられます。
戸籍の附票には、住所の変更履歴が書かれています。戸籍の附票は本籍地のある自治体で管理していて、本籍地が分かればそこの役所で取ることができるのです。

相続人であれば遺産分割の話し合いが必要で連絡を取る理由があるため、必要な書類を取ることができます。

相続財産の裏付け資料と財産目録を準備する

交流がなかった相続人に遺産の内容を伝えるべきか迷うところでしょうが、判明している遺産は包み隠さずに全てを開示することが重要です。
そのための準備として財産目録を作成します。

亡くなった方の財産を不動産・預貯金・株式投資信託などの有価証券など、カテゴリー別に一覧表にします。

亡くなられた日の全財産(プラスもマイナスも含む)が遺産となりますので、その日付の残高証明などを裏付けの証拠として集めます。

不動産なら全部事項証明書(法務局で取り寄せ)、評価証明書(市役所や市税事務所で取り寄せ)ます。

預貯金や有価証券は、それぞれの金融機関から死亡日付の残高証明を取り寄せします。
誰かが建て替えた病院費用や、借入金があれば領収書などを準備します。

はじめから全てを伝えることで安心して相続手続きに協力してもらうことを最優先に考えましょう。
相続関係を分かりやすく説明するための相続関係図も作っておけばさらによいでしょう。

 面識のない相続人への手紙や分割に協力希望を丁寧に書く

面識のない相続人の住所がわかり、財産目録の準備ができたら次は手紙の準備をします。
相続放棄をする可能性があるため、お送りする手紙はできれば配達証明付きの書留郵便で到着日を確認できるものが良いでしょう。

では疎遠な方、面識のない方への手紙には何をどう書いたらよいのでしょうか?
具体的にお伝えすべき事項は次の6つです。

①相続が発生し、あなたも相続人となること

手紙には、準備した相続関係図を付けて、被相続人の亡くなった日付や他の相続人にはどんな関係の人が何人いるのかを伝えます。

②住所を知った経緯

相手の立場で考えると、面識のない人からの突然の手紙に驚き「なぜ住所を知っているのだろう?」と不安になることが考えられます。
相続人調査のために戸籍から、戸籍の附票を調べて住所が分かった経緯を伝えるのが親切でしょう。

③相続財産の内容

事前に準備してある財産目録とその裏付け証拠となる残高証明や不動産の全部事項証明書、評価証明書の写しを付けて財産を開示し検討してもらいます。

④相続放棄と相続税申告の期限

相続放棄や相続税申告には期限があるため、その期限を書いて伝えます。
このように検討材料を提示して誠実に対応すると、相続を放棄することを希望する方もいらっしゃいます。相続放棄には、知ってから3か月以内という期限があります。

送った手紙で相続人であることと、相続財産の内容を知ったことになるため期限はそこから3か月となります。

相続税申告が必要な額の遺産がある場合は、亡くなってから10か月以内に申告納付期限となります。
それはいつになるのかを具体的な日付を書いて知らせましょう。

⑤相続手続きに協力してほしいので連絡がほしいこと

手紙に書く連絡の方法は、電話だけでなくメールやlineのIDなど複数記載しておきます。
忙しい方や電話でのコミュニケーションを躊躇してしまうタイプの人でも連絡をしてもらえる可能性を高めるためです。

⑥手続きを放置するリスクを説明

面倒くさいという理由で手紙への返答をせずに放置されるのを防ぐために、何もしないと次の世代に面倒を背負わせてしまうリスクを説明することも重要です。

また連絡はいつまでにほしいのかの期限を記載して、それまでに連絡がない時は直接伺う旨を可能なら手紙に記載しておきます。

面識のない相続人から返事が来ない場合の対応

お手紙を出して待っていても期限までに連絡をもらえない時はどう対応すればよいのでしょうか?
距離的に訪問が可能な場合は、直接自宅などに伺うことも検討しましょう。

そのためにも事前に手紙には返事がなければ直接伺う旨を、予告することが必要です。
また自分自身で進める自信がない場合は司法書士や弁護士などの第三者に入ってもらうと意外とスムーズに事が進むことがあります。

司法書士の場合は弁護士と違い、代理人になることはできませんので、専門家として窓口になることで直接やり取りを避けたいと考えている相続人には簡単に連絡が取れることがあります。

どちらか一方の味方ではなく中立の立場で窓口としての役割となります。面識のない当事者同士で直接話すことが難しいケースでは、窓口に第三者が入ることで、あっさり遺産分割協議が進むこともあるのです。

専門家に依頼する場合は、ご自身で手紙を出す前に相談しておくのが賢明でしょう。
既に揉めてしまっている時はご自身で調停を申し立てるか、弁護士に代理人を依頼せざるをえないでしょう。

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